アニメ "バトルガールハイスクール"の失敗に関して思うこと

12週間の思いを吐き捨てたい

ネタバレ含みます

こんなアニメのネタバレなんか食らってもどうでもいいでしょうが

バトルガールハイスクール

コロプラ謹製のソシャゲが原作です。
アニメ化に併せて駆け込むようにして原作ストーリーである1部と2部がノベライズされたりもしましたが、本体はスマホアプリの方です。
アニメ放映中はゲームとの連動企画も設けられ、「アニメは別次元の話だから」などとして逃避する道も断たれました。

別にお利口な記事にしようだなんて思ってませんので、私の言葉で感想を好き勝手に書き殴らせて頂きます。

キャラ数が多すぎることへのフォローが十分になされていない

バトガの登場人物は神樹に認められた者だけが覚醒できる"星守"という存在です。
ゲームでも基本的にはプレイアブルキャラは星守だけです。
その星守というのがアニメ放映時には18人いまして、アニメでこの膨大な数をどう扱うのかというのはもちろん注目すべき点でした。

しかしその不安やら期待やらは、ほぼ全ての回で18人全員に一言喋らせる機会を作るという恐るべきアプローチを以って返されました。
ゲームの方で未プレイの完全新規に向けたアピール等も行っていたので、そちらの方面にも優しい作りになるのかと思いましたが、結果的にはキャラが把握できないというキャラゲーのアニメとしては致命的な振り落とし方をしました。

更に1話に限って言うならば、世界観や設定等の基礎の説明すら省き、ほぼ全シーンを未知の何かとの戦闘シーンに費やしてしまったので、新規の人は没入感もクソもないところからのスタートだったでしょう。
後の回では登場シーンで名前とCVをテロップで表示するなどの配慮がなされましたが、1話ではそれすらありませんでした。
実に慎重に入るべき導入をどうしてこうも軽んじてしまったのかと早々に不安にさせる開幕となります。

全キャラを登場させることで個々を掘り下げられなかった

前述のように全員を出演させるとなれば当然起こり得る事態です。
序盤こそ登場機会を均等に割り当てる努力の跡は確かに見られていたのですが、中盤になるとちょっとしたシーンでも目立つキャラが大体固定されてきており、後半になるともはや今回何を喋ったのか覚えてないキャラがいることも珍しくなくなりました。

また、キャラの個性を理解するにもキャラごとのエピソードの掘り下げがほとんど行われず、学年ごとに一括りにされた話が終始展開されました。
こういった事情もあり、最後の最後まで名前を覚えられないといった視聴者の声が絶えませんでした。
ゲームから入った私の目からも外装だけ異なる人形の群れにしか見えませんでした。

新キャラを軸にしたストーリー展開

今作ではゲームの星守18人に加え、並行世界から来たミサキという1人の星守が登場します。
ゲームで伏線も何もなく唐突に登場した彼女を軸に最初から最後まで話が構成されました。
物語の核心となる部分には必ず彼女が絡み、日常回であっても登場する始末でした。

彼女の立ち位置はいわゆるメアリースー的であり、星守に対して「特訓の内容がなってない」というところから許可されてない乱入を行い、制止されるまで武器を振るう登場シーンから始まります。
彼女自身が常に上から目線で見下した言動を行うのはもちろんのこと、星守に失態をさせてミサキが尻拭いをするという伝統的な相対的持ち上げの手法も採られました。
キャラ改変とも言えるくらい、不可解なほど弱くそして愚かに改竄された星守は正直見てられませんでした。
その弱体化の理由は「比較的平和になり星守の気が緩んでいる」と説明されましたが、特訓自体は変わらず行われており、イロウスが出現する頻度もまだまだ日常と言っていいもので、はっきり言って説明と描写がまったく釣り合ってないと感じました。

"ミサキが星守を理解するまでの話"と総括してもいいほどに、ミサキと星守の溝を埋めることに作中の大半の話数が費やされたと言っても過言ではありません。
並行世界という概念の登場も今回のアニメからであり、前兆がまるで見られなかったことも"ミサキのためのアニメ"であるという印象を更に明確にするものでした。
元からいる18人の星守が好きでアニメを視聴していた身からすると、星守が下げられてる状況はやはり面白いものではありませんし、歪な関係なんてさっさと解消してほしいと思うのも当然でしたが、ずっとズルズルとその過程をやられたため非常にがっかりしました。

ミサキと星守の不仲がはっきりと解消されたのが11話です。
そして、12話(最終話)では絆の力で活躍するのがミサキと星守の一人であるみきの2人だけです。
みき以外の星守は敵に無様にやられるところだけを描写されました。
ここまで徹底されると褒め称えたくなりますね。

特に盛り上がらない戦闘シーン

ゲームでは過剰なスキル演出で派手なバトルとなっていますが、アニメではいわゆる地味な通常攻撃に終始し、更に作画もあまり動かないといった具合でどうにも盛り上がらないものとなっていました。
その上、敵がどうしようもなく強くなれば神樹の力でどうにかするというワンパターンな展開も手伝い、ひたすら退屈なものに映りました。

今作では日常面よりもむしろ戦闘面を前に押し出したものとなっており、日常回と思っていても強引に退屈な戦闘シーンを捻じ込むことが珍しくありませんでした。
しかし全12話を視聴して思うのが、皮肉にも、戦闘がなくミサキもほとんど関わらなかった日常回の6話が最も面白かったということです。
はっきり言えばアニメにはこういった内容を求めていたのですが叶いませんでした。

何も考えてなさそうな構成

アニメバトガの最大のテーマであったミサキの星守への理解が形になったのが11話だというのは前述の通りですが、11話というのは今作のターニングポイントと言うべき重要な回になりました。
「11話でターニングポイント?」と思われるかもしれませんが、純然とした事実です。

以下に全12話における核心が明らかになっていく過程を書き記しました。
これを見た方が理解が早いでしょう。

本筋に関わる要素
1 ミサキが星守クラスに加わる 導入
2 日常回
3 星守の掘り下げ回
4 星守の掘り下げ回
5 ミサキが姉らしき人物に背中を流されてる回想 星守の掘り下げ回
6 日常回
7 ミサキに姉がいることが明確になる
"こっちの世界"という単語を口にする
シリアス回
8 日常回
9 黒フードを被った何者かが学校を急襲 日常回
10 黒フードが数名で再び急襲
9話で急襲してきた黒フードがミサキの姉であることが判明
同時に姉の顔がみきと酷似していることが判明
更にミサキと黒フードが別の世界から来たことが告げられる
日常→シリアス
11 ミサキがいた世界で何があったのか(闇神樹に世界が滅ぼされたこと)が描写される
並行世界が存在し、神樹の力でその次元移動が可能であることが判明
黒フードがミサキがいた世界の星守であることが判明
神樹がある条件下で闇神樹という形態を取り、星守を取り込み制御することが判明
イリス(敵の親玉)が闇神樹を持ち帰る
ミサキと星守の関係が良好化
シリアス回
12 イリス + 闇神樹 + 超大型兵器を一撃でまとめて倒す
ミサキがみきの世界に留まることを決断
シリアス回

空白になってる部分はミサキと星守がグダグダやってるか、あるいは全く関係ないシーンで埋まってるかです。
一見して分かりますが、物語をどう締めるかというのを最終話直前に詰め込む形になっています。
7話も進展こそあれどラスト数秒にミサキがぽつりと呟くという形で判明したもので、大部分は関係ないシーンです。
つまりは9話ラストの急襲シーンまでほとんど話が進まないという構成になっています。

11話がターニングポイントというのは特に太字で示した部分にあり、これらはゲームで全く前兆のなかった新要素となります。
更に、イリスというのはゲームでも登場こそすれどその姿を星守の前に現したことがなく、アニメでも一貫して隠れた存在であり続けました。
そのため、11話で闇神樹がいることが告げられるまで倒すべきラスボスというのが定まっていませんでした。
11話になってやっと「ミサキの世界を崩壊させた闇神樹を倒そう!」と方針が明示されるのです。
そういった意味で遅れてきたターニングポイントとなりました。

「11話でいきなりこんな詰め込んで最終話で収拾つくのか?」と心配されたとおり、最終話は祈りの力を神樹が具体的な力に変換して全員倒すという粗末な展開で無理やり畳まれました。
全てが全て不要な回ばかりだったとまでは思いませんが、ちょっとずつ明かしていく構成にできなかったのかと。
最終回直前にこれでもかと詰め込まれた結果、12話では黒フードをそれぞれ数人がかりで倒すところまでは良かったものの、本丸である闇神樹は敵勢力により守られておらずほぼ裸の状態である上に、隠れて指示していたイリスも含めそれらを元気玉で一網打尽にするというとんでもない投げ方をされることとなりました。

この記事どう締めるんだよ… 元気玉投げときゃいいか