The Talos Principle の感想

steam版

該当ゲームのネタバレあり

The Talos Principle

FPSパズル。
3つのワールド(A, B, C)を行き来し、それぞれのワールドに複数設置されている課題(パズル)を解いていく。

パズルは独自の形式であり、従来の遊戯の中であえて例えるなら点つなぎ。
赤と青の光源をソケットに繋ぐと、バリアを解除できたりファンが稼働したりする。
ゴールとなるテトリミノは大抵バリアの中に設置されており、
光を媒介するコネクタや、持ち運びや昇降が可能なコンテナ(作中では 6 面体)を駆使してテトリミノを目指すものとなっている。

死亡という概念はあるが、各ステージのスタート地点に戻り、当該ステージが初期化されるのみ。
リトライは容易でストレスは特にない。

酔う

レビューでも言われてたし、実際のところ俺もかなり酔った。
もっと言えば酔うせいでしばらくこのゲームを積んでた。

視野角を狭めるため、映像酔いオプション > 視野 > 64.20 に設定するだけで長時間のプレイが可能になった。
(狭くなってるよね?)

酔うから積んでるゲームが他にもあるのですが、
さすがに酔い止め飲んでまでゲームやりたくはないから困ったもんだ

多くを語らないタイプのストーリー

設定は面白いんですけどこういうのは気に入らない。
しかし、多くの語らないタイプのゴミストーリーゲーと比較したらまだこのゲームは割と語ってる方。
許容できない範囲のギリギリを攻めてこられた。

タイムカプセル

ドレナン博士が肉声で残したもの。
設定の理解を助ける記述を中心に要約。

2度ほど出現する「アレックス」に関しては、
彼女(アレクサンドロス・ドレナン)のファーストネームだと思われる。

01: タイムカプセルを残す動機
02: 人間は遊びを楽しむもの、と定義
03: 著書「タロスの原理」を読み、人間は脳を実存させるための容器だという考え方に触れる。肯定的
04: ポンペイへの旅行でかつて人がいたという事実に恐れる、「人がいる限りは過去は失われない」と 01 の動機に繋がる
05: 人工物の尊さ
06: DNA の概念を発展させ、人類は思想や発想を時を超えて継ぐものだとする
07: 大問題を解決するため、人柱を厭わず環境を作ることを考える。答えはそこから生まれる
08: 機械が生きているのなら人類は死んでない
09: 哲学と科学で文明は死なない
10: 知的能力と知識を機械で再現したらもはやそれは人間なのではないか
11: 星の寿命等を例として、数百万年後の星空を計算して言い当てることができることを根拠に、人類は時間を超越している部分があると結論
12: 考えを記録して未来に届けることをプロジェクトとして為した
13: 不安を語るだけ
14: 単に問題を解くだけでは知性があるとはいえない、既存の思想体系に疑問を持つことを知性とする。この定義を環境に組み込まないと奴隷を生成するだけだと結論
15: 環境に生み落とされたものたちへの期待を語るだけ
16: 環境に生み落とされたものたちが文明の人工物をなんでもいいから愛してくれることを切望する
17: 技術で人類が滅びたことに言及
18: 特になし
19: 親友が亡くなったことに言及し、生きた証を残す努力をすると宣言
20: 特になし
21: 環境が時々誤ったデータベースにアクセスし、ランダムなデータを引き出すというシステム上の弱点があることを発見
22: ダイイングメッセージ

推測される設定

人類に絶滅をもたらすウイルス

まず、ゲーム開始時点よりも以前の舞台設定を理解したい。
とにかく、人類はウイルスにより絶滅しようとしている。

> 医学ジャーナルが昨年発生した衝撃的なオランウータンの突然の絶滅に関する驚くべき新理論を発表した。
(中略)
> 絶滅の原因とされるウイルスは新しい突然変異種ではなく太古のウイルスであり、
> 今日まで高緯度にある永久凍土の中に埋もれていたものが地球温暖化の影響で出現したものだとしている。

オランウータン.html

そして、もう手が打てなくなったと判断した段階でドレナン博士を筆頭とする延長寿命プロジェクトが開始される。

延長寿命プロジェクト

プロジェクトの背景の理解にはタイムカプセルが非常に参考になる。

まず、このプロジェクトは人間をウイルスの困難から生かすことを考えたものではない。
人間が生み出したあらゆる人工物を、より人間らしい知性を獲得した AI に伝達することを目指したものである。

人間はもう滅びゆくものであるが、人間が生み出した知識や人工物は滅ばない。(05, 06, 09, 11)
ある意味、人間そのものより人間の生産物の方が尊いと考えている。(03, 04, 05, 06, 08)
しかし、人間の生産物を理解するにはそれ相応の人間らしい知性が必要である。(16?)
ただ、そのような知性を持った機械を現段階で作ることはできない。(07)

そのような機械に対し、課題を与えることで厳選していく。(14)
課題を与えられるままに解いていくだけの奴隷のような機械は捨て、次の世代に託していくようにする。(14)
なぜ課題がそこにあるのか、課題を解き続けるだけでいいのかと疑問を持つ機械が生まれることを期待する。(14, 15)
そうして厳選された機械であれば、もはやそれは人間の知性そのものを持ち合わせた機械であり、新世代の人間とみなしてもいいと結論する。(10)

このプロジェクトは人間が築いた文明の素晴らしさを伝えるため、
人間らしい知性を獲得する機械(人工知能)を生成するための環境を作成するためのものである。

ゲーム部分

人工知能の厳選の場となる仮想空間上で、プレイヤーは機械を操作する。

課題として与えられたのは、各世界に散らばったテトリミノを回収することである。
なぜパズルが課題として与えられたのかというと、人間は遊びを楽しんで発展してきた生物だからである。(2)

最終的に、プレイヤーは3種類に分岐される。
与えられた課題を与えられるままにしか消化できない、単に奴隷でしかない機械。
課題を解く技能において特に高い水準を満たせた、いわば上級奴隷のような機械。
そして、課題そのものに疑問を抱けた人間のような機械。

エンディング

厳選が終わり、必要のなくなった仮想空間上の世界は削除される。
そして、最も人間らしい人工知能が現実における容器である Soma / Talos にインストールされる。

なぜテトロミノなのか?

イードワルドの文書より、現在テトロミノとされるものに彼が神々しい意味を見出しており、
それぞれのパーツ自体は不変なのにそれらの組み合わせでまったく別のものを作り出す点に想像主の能力の象徴を感じていたとのこと。
ソースはテトロミノ.html

無理やり Talos に当てはめるなら、
同じ課題を与え続け、突然変異で課題に逆らい始める AI が生まれることに期待していることになぞらえている、というところになるかも

コンピュータの中のグチャグチャしたデータは何なのか

人類が後世(というか人間らしい機械)に期待して託した人工物の数々。

プロジェクトメンバーであるジョージが担当している部分に不具合があり、
ランダムなデータベースにアクセスするようになってしまった。

修正している時間もないままリリース日(というより人間の絶滅)を迎えてしまったため、
ゲーム上ではあんなグチャグチャになっている。

文書の一部文書がエンコードされたみたいになっているのは正直これとは関係ないと思う
(もしくはなぜかデコードできていないのか)

星集め

難しすぎませんか?

他のステージの光源やコネクタを利用する、という点にさえ気が付けば大部分は集められるかと思います。
幸い星は分かりやすい位置にあるので、後はどう取得するかに集中できるからです。

問題は星そのものが見つからないパターンです。
ワールドAの時計の問題(これはまだマシ)や、ワールドBのスフィンクスの問題ははっきり言って自分で解くには辛いかなと感じました。

しかし、星集めこそが Talos の面白さだなと考えています。
心の底から奴隷になってしまったプレイヤーは星を集める前にアンインストールしてしまうのではないかと思いますが、
それは本当にもったいないので星までやってみてほしいです。

映像がきれいです

デスクトップの背景にできます。






雑感

全 ED 回収に 33 時間くらい。
傑作だと思います。本当に面白い。
ただめちゃくちゃ酔う。

DLC はまだ購入すらしていません。
酔わなきゃ即決でやってたんですが、酔うのを覚悟して買うべきだろうか?