バイオハザード1 リマスター版 の感想

steam 版, ネタバレあり

bioharard HD REMASTER

TPSホラーゲームです。

今日のホラーゲームの主流である「追いかけっこしながらパズルを解く」というところからは若干ズレており、
パズル中は操作を止めてじっくり考えることができるみたいです。

アイテムを使ってセーブ

オートセーブ文化に慣れ切ってしまっているのでこうしたタイプのゲームは久々でした。
インクリボンという消費型のアイテムを用いてセーブを行うのですが、
先に進まないとインクリボンが増えないため、計画的なセーブが必要です。

セーブに戦略性が生まれて面白いシステムと思う反面、
隙間時間でちょっと進めてやめようといったプレイスタイルには著しく不向きなため、
オートセーブ(あるいは without インクリボン)で手軽にやれるモードを新設し、インクリボンの従来型を縛りの位置づけにしてもいいのかなと思いました。

正直セーブのためにアイテムの整理をするのも面倒ですし、
そこまで好きなシステムでもなかったです。

固定カメラ

このゲームを語るのに避けては通れない箇所だと思います。
これに関してはまず一言、最悪だったと言わざるを得ません。

このゲームはある座標にいる時のカメラの角度というのが厳密に決まっており、
敵に教われようが非戦闘時だろうが問答無用でこの場所ならこのカメラ、というようになっています。
どのようなベクトルで移動していても座標で決められているのでカメラは無慈悲に切り替わります。

切り替わってからの挙動に難があるのをおそらく制作側も認知しており、
方向キーを押しっぱにしておけばカメラが切り替わっても同じ方向に進み続けるようになっています。
この挙動を理解していないと具体的には美術館あたりで非常に困ります。

固定カメラによるデメリットは他にもあり、死角が少なくないことにもあります。
これは見えないところで何が起きているのかを聴覚で感じ取ることの強要でもあり、
ある種では効果的にプレイヤーを恐怖させることになっているので、功罪どちらもあるのかなと感じられました。

俺個人の感想を挙げるならとんでもなくストレスの溜まる設計であり、
本作をもう二度と触りたくないと感じる程度にはきつかったものです。
恐怖感云々よりも本当にめんどくさくて没入感が消失しました。

アイテムを持てる量に過剰な制限がある

面倒なだけの要素だと思います。
アイテム管理に関しては戦略性をまったく感じられません。

というのも、先に何があるのかが分からないのであれば戦略を取りようがないからです。
回復アイテムを削って使いそうな用途不明品を持ち歩くのは「この先あるかもしれない戦闘を軽微な被害で済ませられることが前提のギャンブル」であり、
回復アイテムを多めに持って使いそうな用途不明品を置いていくのは「この先あるかどうかも分からない戦闘のために過剰な準備をしているだけ」です。

マップを手に入れてからは「この部屋広いぞ、ボス戦か?」とある程度準備していけるようになりますが、
先に何があるか分からないのに何を戦略立てればいいのでしょうか?

逆に言えば、何があるか分かっている場合は戦略性が取れます。
2周目以降のプレイがそうですね。きっとやりこみ方面は本当に面白いんだろうなと思います。
じゃあアイテム個数を縛る設定が別にあれば全員笑顔になるんじゃ?

基本的にはいきなりびっくりさせるような典型的なホラーゲーム

もしかしてバイオ1が源流なのだろうか?

突然大きな物音を鳴らしてガラスが割れるだとか、
死角にゾンビを置いて鉢合わせるみたいなゲームです。
もうこれ怖いってより驚くだけで本当に辛いです。疲れます。

とはいえ、バイオ1はその傾向が言うほど強くもなく、
どちらかといえばジワジワ忍び寄るような演出だとか、
かすかな足音がヒントになるような這いよる恐怖の成分の方が多いのかもしれません。

SOMAってホラーゲームがこの要素を極力減らして怖がらせるゲームになってるので、
今後のホラーゲームはこういう感じがいいなぁと思ってます。

クリムゾンヘッド

一度倒したゾンビを放置することで、高速で動く強力なクリムゾンヘッドへと変化するというシステムがあります。
これは秀逸だと思いました。

このシステムがあることで、「この通路のゾンビは避けられるから残しておこう」とか
「止めを刺さないようにハンドガンを持ち歩こう」といった回避策や、
「倒しきりたいから油とライター持とう」といった撃退策等が考えられ、
戦略的にゾンビをどうするべきかを考えるようになります。
こうなってくると本格的にホラーというよりは別のジャンルに変化している気がします。

怖いかもしれない、と思ったのは最初だけでした。
クリムゾンヘッドがホラーの一要素として優れているとは決して考えてません。
ゲームに戦略性を持たせるものとして優れているのです。

設定的にはTウイルスの「本体が意識のないタイミングで細胞が変異する」というものがゾンビになっても活きているものだと思います。
ゾンビに意識があるのか?そもそも意識とは何か?と考えてしまいますが、きっとあるんでしょう。

小学生でも解けそうなパズル

そもそもホラーゲーム≒パズルゲームみたいにした戦犯が誰なのかが気になりますが、
ホラーといえば簡単に解けるパズルです。
本作でもパズル要素が散りばめられているというかほとんどパズルです。

バイオのパズルの文脈が理解できていなかったので戸惑いましたが、
基本的には謎が設置されている部屋にはヒントも一緒に置かれているようにできています。

パズルが難しすぎるとホラーへの没入感が消し飛ぶのはもちろんそうなので、
本作くらい簡単な方がいいのかもしれません。
もしかすると「パズルを投入することで脳のリソースを減らさせ、より怖がらせることができる」とかそういう効果なんでしょうか。
素直にやめてほしいです。

陳腐だが人間味のあるストーリー

人間ドラマとしてはありですが、薄味であると言わざるを得ません。
よくここから何作も続く大ヒットシリーズが書けたなぁと素直に感動しました。

映画の方は既に何作か視聴済みであったため、誰が裏切るのかは正直最初の時点で分かってしまいました。
残念。

やりこみ要素が豊富

すみません、固定カメラの影響でもう二度と遊びたくないのでノータッチです。

ジルがかわいい

ジルのおかげで最後までプレイできた。
ありがとう。

雑感

1,015 円で購入して 1 周クリアまで 12 時間ほどでした。
相当グダグダしてたのに意外と早く終わったなという感想です。
(6 時間くらいは館をうろうろする時間だったんでしょうね)

古典を知るという意味で購入しましたが、結局それ以外の意味がなかったかのように思えます。
とはいえ、これだけ酷評こそすれど雰囲気だけは良いゲームでした。
オブジェクトの画質(?)が悪いのがいい方に作用しているゲームです。

定価で買うことはまったくオススメできませんが、
セールで買うんだったら一度は遊んでおいてもいいタイトルだと思います。
そして固定カメラに文句言いましょう。